十二指腸潰瘍とは
「夜中や明け方のお腹が空いているときに、みぞおちのあたりがキリキリ、激しく痛む」「食事を摂ると、不思議とお腹の痛みがすっきりと治まる」——このような特徴的な胃の痛みに悩まされていませんか?
これは、胃のすぐ先にある「十二指腸」の粘膜が胃酸によって深くえぐられてしまう「十二指腸潰瘍(じゅうにしちょうかいよう)」の典型的な症状です。胃潰瘍が「食後の痛み」になりやすいのに対し、十二指腸潰瘍は「空腹時の痛み」として現れる傾向があります。単なる胃の疲れやストレス性の胃炎と自己判断して放置すると、潰瘍が深くなって血管を破り、大出血を起こしたり、腸の壁に穴が空いて(穿孔)緊急手術が必要になることもあるため、早めの専門的な診断が必要です。
主な症状
- お腹が痛い・張る:みぞおちのあたりがキリキリと強く痛み、特に空腹時や夜間・明け方に症状が起こりやすいのが特徴です。
- 血便(タール便):潰瘍から大出血を起こすと、血液が胃酸と反応して真っ黒になり、イカスミのような黒い便(タール便)が出ます。
- 胃もたれ・胸やけ:十二指腸の炎症によって胃からの排出がスムーズにいかなくなり、食後の胃もたれや胸やけを覚えることがあります。

原因と病態
十二指腸潰瘍は、強力な消化液である「胃酸」と、それを防ぐ十二指腸粘膜の「防御機能」のバランスが崩れ、自分の胃酸によって十二指腸(特に入口に近い球部という場所)の壁が傷つけられる病気です。
十二指腸潰瘍の2大原因
①ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)感染
十二指腸潰瘍の患者さんの9割以上にピロリ菌の感染がみられます。ピロリ菌が十二指腸の粘膜に持続的な炎症を起こし、胃酸に対する抵抗力を弱めてしまいます。
②痛み止め(NSAIDs)の常用
腰痛や頭痛、生理痛などで「ロキソニン」や「ボルタレン」「バファリン」などの非ステロイド性抗炎症薬を頻繁に飲んでいる方は、粘膜を保護する物質の分泌が妨げられるため、潰瘍が非常に発生しやすくなります。
年齢層の特徴
胃潰瘍が50代〜60代の比較的高齢な方に多いのに対し、十二指腸潰瘍は20代〜40代の「比較的若い世代」に多く発症するという明確な特徴があります。
今すぐ受診すべき危険なサイン
十二指腸潰瘍が進行し、出血や穿孔(穴があく)などの大合併症を起こしているサインです。以下の症状がみられたら、我慢を続けずただちに消化器内科を受診してください。
- 冷や汗が出るほどの急激な激痛がみぞおちやお腹全体に走り、全く痛みが引かない(穿孔の疑い)
- 真っ黒い便(タール便)が出た、または血を吐いた(十二指腸での大出血・吐血のサイン)
- コーヒーの残りかすのような黒い液体、または鮮血を大量に吐いた(吐血)
- 痛みが何日も続き、顔色が悪くなり、ふらつきや立ちくらみ(貧血症状)がする

当院での検査・診断方法
十二指腸潰瘍の有無、およびその深さや出血の危険性を正確に診断するための唯一の解決策が、胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)です。
田園調布ステーションクリニックでは、みぞおちの激しい痛みや気持ち悪さを抱える患者様に配慮し、鎮静剤(静脈麻酔)を使用してまるで眠っているかのようにリラックスして受けられる「苦しくない胃カメラ」をお受けいただけます。
内視鏡で潰瘍を発見した場合は、速やかに胃酸の分泌を強力に抑えるお薬(PPIやP-CAB)を処方し、痛みを和らげます。さらに、同時にピロリ菌の検査を行い、陽性であれば潰瘍の根本治療(再発予防)となる「ピロリ菌の除菌治療(お薬を1週間飲む治療)」まで院内で一貫して完結させます。
FAQ よくある質問
絶対にやめてください。先述の通り、ロキソニンなどの鎮痛薬は十二指腸の粘膜をさらに深くえぐり、潰瘍を劇的に悪化させる最大の原因となります。痛みを止めるどころか、大出血や穿孔を引き起こす引き金になりますので、自己判断での痛み止めの服用は厳禁です。
良いお薬があるため、飲み始めると数日で嘘のように痛みが消えます。しかし、潰瘍の傷口が完全に塞がって「治癒」するまでには数ヶ月かかります。途中で内服をやめると確実に再発し、さらに深い潰瘍へ進行してしまうため、医師から「もうお薬を止めて大丈夫」と言われるまで、必ず指示通りに内服を継続してください。
この記事の監修医師

田園調布ステーションクリニック
院長 鈴木 直人
- 昭和大学医学部 卒業
- 日本消化器外科学会 専門医・指導医

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